わたしは、散歩が好きだ。
わたしは散歩をする時、必ず「山」を見る。
「山」を見つめた時の心の状態がわたしのバロメーターなのだ。
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ある時は、どっしりと身構える山々を前に怖気づくことがある。
木々が重なり合ってつくり出す哀愁漂う闇に飲み込まれそうになる。
ふと気を抜けば闇へと誘われてフッと消えてしまうのではないかと不安になる。
「あぁ、わたしは、いつでも、ここで終えられる」という妙な安心感すらある。
ぐっと重たく深い闇を前にして「自分の無力さ」に打ちひしがれる。
そして気付く。
あぁ、わたしは傷付いているのだと。
わたしは怖れているのだと。
わたしは不安に覆われているだと。
ただ、そう、感じる。
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ある時は、どっしりと身構える山々を前に勇気づけられる。
嬉々として伸びる木々が集まって織りなす壮大さに優しく包み込まれる。
彼らはいつ何時でも変わらずに迎え入れてくれるという安心感がある。
わたしが何をやってもきっと見守ってくれているであろうという信頼がある。
雄大で寛大なエネルギーがわたしに力を貸してくれていると自信になる。
そして、気付く。
あぁ、わたしならきっと大丈夫だと。
わたしは決して一人じゃないと。
わたしは大きな愛に包まれていると。
ただただ、そう、感じる。
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「山」は、いつだって、ただそこに「在る」だけ。
「山」に感じる気持ちは「わたしの中」にある気持ち。
「山」をどう見るか「決めている」のはいつだってわたし。
これは何も「山」に限った話ではない。
「お金」だってそう。
「仕事」だってそう。
「家族」だってそう。
「恋人」だってそう。
わたし達は、いつだって、「自分が」見たいように世界を見ている。
わたし達は、いつだって、どう世界を見るか「自分で」決めている。
「頭」ではなく、「心」が決めている。
全部ぜんぶ「自分が」決めていることなら、どんな選択も「自分で」選べる。
そのことを「山」は、「自然」は、いつだってわたしに教えてくれる。
だから、わたしは、散歩が好きだ。
カウンセラー K!naCoでした。
K!naCo - きなこ -